腰痛の原因、実はストレス 〜痛いのは心が作り出している?〜

頻繁にぎっくり腰になる。
慢性的な肩こりに悩まされている。
なぜかずっと膝が痛い。

このように長く続く痛みに悩んでいませんか?

原因がわからず、頻繁に繰り返す痛みがあったり。一度痛み出すと長く続き、数ヶ月かけて徐々に良くなったのにまた痛いなんてことがある方の原因はもしかしたらストレスなのかもしれません。

今回は原因不明で長く続く痛みや辛さはどこからやってくるのか?その、仕組みを紐解いていきます。原因や発生する機序がわからなければ、どのように対処をすれば良いのかわかりませんよね?
今回の記事では、これら痛みの原因を紐解いていき、長く付き合っている痛みとの決別方法をシェアします。
クリ先生

長い間、痛みが消えない慢性痛。なぜ痛み続けるのか?
際限のない痛みに悩まされている方にぜひ見てほしい内容です。

リバ子

私もどこのお医者さんにかかっても、何をしても治らなかった経験があるわ。

クリ先生

私も過去に、
「とりあえず、様子を見ましょう・・・」
「安静にしてください・・・」
「ストレスですね」
「老化ですね」
こんな感じの対応で終わってしまった経験が何度もあります。

リバ子

そうなのよね。何が起きていて、どう対処していいか分からないから教えて欲しいのよ!!

クリ先生

では今回はその、痛みがどこで生まれて、なぜ慢性化してしまうのかを解説しましょう!

リバ子

知っていないと、対処のしようがないものね!

INDEX

動画で解説!

痛みを感じる場所は脳である

痛みは体で感じた後、最終的に脳で認識される。ストレスがあると痛みが発生しやすくなり、痛みがあるとストレスを感じやすくなる。痛みを感じる仕組みと、慢性痛とストレスの関係について解説します。

痛みの発生から認識まで

体で感じた痛みは、脳に伝達されることで「痛み」として認識される。痛みの感覚はまず脳の「視床」に入り、そこから「体性感覚野」に送られることで、痛みの場所(手が痛い、腰が痛いなど)が特定される。脳が痛みを認識して、「痛いのだ」と解釈すると痛みと感じます。なので脳の状況によって痛みに対する感じ方や敏感さが変化します。よって人によって痛みに対する感じ方は千差万別です。もしあなたの周りで痛がっている人がいた場合、「そんなことで大袈裟な」と思ったとしても、本人の中では強烈な痛みであることもあります。また逆に、「自分の痛みを周りの皆が理解してくれない」ということも発生します。

痛みの定義

痛みとは何か?定義を確認してみましょう。痛みは、物理的な情報(どこが痛いか)と「不快感」という感情が合わさって成立します。物理的な情報×不快感がかけ合わさって初めて痛みとなります。どちらかが欠けると、脳は痛みとして認識しないです。針が刺さっても(物理的な情報)、気持ちいい(快感)を感じる人がいた場合、脳は痛みとして認識しませんし、痛みを感じません。何を不快に感じるか?によって人それぞれ、痛みを感じるものが違ってくるということです。脳が不快な感覚を受け取りやすい状態の方は痛みを認識しやすくなっており、少しのこと(とみえる様な状況)でも苦痛に顔を歪めます。

慢性痛の定義

慢性疼痛とは、「急性疾患の通常の経過、または創傷の治癒に要する妥当な時間を超えて持続する痛み」と定義されます。具体的には、3か月以上続く痛み、または痛みの原因となった怪我や病気が治癒した後も1か月以上痛みが続く場合などを指します。
本来なら治癒している状況なのにも関わらず、ずっと痛いという状態を指します。

痛みの情報処理プロセス

痛みの感覚は脳の視床に入り、そこから体性感覚野に送られ、痛みの場所が特定されます。一方で、不快感は古い脳の部分である大脳辺縁系で感じ取られます。

STEP
体が状況を知覚

なんらかの物理刺激と不快を感じる情報が起きる

STEP
脳の視床が知覚

物理情報と不快感はまず脳の「視床」に入力されます

STEP
体性感覚野に情報が送られる

視床から「体性感覚野」に情報が送られ、痛みの場所(手が痛い、腰が痛いなど)が特定されます。この処理は比較的新しい脳の部分である「大脳新皮質」で行われます。

STEP
大脳辺縁系で不快感を覚える

不快感は古い脳の部分である「大脳辺縁系」(特に扁桃体)で感じ取られます。

痛みとストレス(心因性)の関係

心の状態(感情や認知)と痛みの感じ方は非常に密接に関係しており、脳内で痛みの伝達経路と感情を司る領域が重複しているため、互いに強く影響し合っています。

心の状態が痛みの感じ方を変える

脳が痛みを処理するため、その時の心の状態が痛みの感じ方に大きく影響する。不安や悲しみを感じている時は痛みをより「不快」に感じやすく、幸福感や楽しさを感じている時は不快感を感じにくく、痛みが軽減されることがある。
・心理状態が痛みの感じ方を左右します。
・ストレス、悲しみ、不安は痛みを増幅させます。
・ポジティブな感情は痛みを軽減させます。
・心因性の要因として「身体症状症」「うつ」「自動思考による認知の変化」「慢性痛」が挙げられれます。
幻肢痛

事故などで手足を失ったにもかかわらず、ないはずの手足があるように感じたり、そこが痛いと感じる現象。
これは、脳が過去の経験に基づいて「足が痛い」という神経回路を構築してしまい、刺激がないにもかかわらず痛みを感じてしまうために起こる。これは痛みが身体で起きている受傷がなくても発生するという根拠の一つとなります。

研究結果
  • アメフト部に所属する学生50人に対し、レントゲンやCTスキャンなどの画像所見と、実際に膝の痛みがあるかどうかのアンケート調査を実施した。
  • 結果、画像上は膝に全く損傷がないにもかかわらず「痛い」と答えた人がいた。逆に、損傷があるにもかかわらず「痛みを感じない」と答えた人もいた。
  • このことから、実際の体の損傷の有無と、本人が感じる痛みは必ずしも一致しないことがわかる。脳が「痛い」と感じれば、それが痛みとなる。

痛みと心の相互作用

痛みは心にダメージを与え、ストレスの原因となります。逆に心のストレスが原因で、痛みを感じやすくなる。このように「体」「脳」「心」は三位一体で複雑に絡み合っています。

思考による認知の変化と脳の可塑性

同じ痛みが繰り返し入力されると、その神経ネットワークが強化され、痛みを感じやすくなったり、敏感になったりする。原因がなくなっても、脳の中で痛みの情報だけが駆け巡り、「痛い」と感じることがある。このように脳の仕組みが変わることを「脳の可塑性」という。

繰り返される刺激は神経ネットワークを強化します。その部分には信号が流れやすくなっており、頻繁に使われれば使われるほど、さらに流れやすくなります。慢性痛はこれが原因で起きることがあります。また慢性痛自体がさらなる慢性痛の原因にもなります。

頻繁に「この動作をすると痛い」「この状況では痛む」「痛くなった時の場面やエピソードを繰り返し思い出す」ことを行うと、神経の可塑性により、その思考が強化されます。するとさらに思い出しやすく思考しやすくなり、痛みにかかわる思考が頭を支配し始めます。慢性痛が慢性痛を呼ぶのは、このような仕組みが脳に備わっているためです。


心因性の痛みへのアプローチ


心因性の痛みや脳の可塑性による痛みに対しては、心と脳の機能を正常に保つことが重要。ストレスの原因を減らし、認知を変え、神経伝達物質(セロトニンなど)が正常に働く状況を整える必要があります。

心因性の痛みを軽減するためにはストレス耐性を高めることが必要となってきます。入ってきた刺激をどう受け取るかをコントロールする必要があります。ストレスの受け取り方の改善には「認知行動療法」「スキーマ療法」が有効です。医療機関や心療内科や心理カウンセラーによって行われる療法となります。
また、リラクゼーション法やマインドフルネスも精神面を整える上で大事になります。受け取ってしまったストレスを正しく消化し、癒すことを行いましょう。
また痛みに対して正しい情報を持つことで、過剰な不安や恐れをなくし、楽観的に回復に向かうことができます。このページで心因性の痛みについての、正しい理解を持ち、最適な方法を取れるように対処することが大切です。

破局的思考と痛みの悪循環

過去の強迫的な情報やネガティブな感情があると、それに対して「もうどうせダメだ、治らない」といった破局的思考が起きることがあります。この反復的思考が痛みの悪循環を生み出します。

痛みの悪循環

痛みを感じると、それに対して不安や恐れが生じます。この不安や恐れが「また痛くなるのが嫌だ」という感情を増幅させ、過剰な警戒心や回避行動(例:膝が痛いから歩かない)につながる。動かないことで機能障害やうつ傾向がひどくなり、それがまた新たな痛みを生むという負のループが発生するのです。

痛みの悪循環からの改善策

痛みの悪循環から抜け出すためには、まず認知の歪みを正す必要があります。痛みに対してどのように受け止めるかを変えることが重要です。
認知の歪みは、脳の仕組みや痛みの原因に関する正しい情報を持っていないことから生じやすい。例えば、「壊れている場所はいずれ治る」といった細かなデータ情報を知ることで、破局的思考に陥るのを防げる。信頼できる専門家から正しい情報を得たり、ネガティブな言葉が入ってこない環境を整えたりすることが大切である。

  • 家族、友人、職場の仲間などから、「その痛みはもしかしたら重大な病気なのかもしれない」「早くなんとかしないと大変よ」「治らないし、もっと酷くなる」「◯◯さんは、こんなことになって大変そうだった」などと知らせてくれたりします。しかし、悪意はなくても、破局的思考が悪化する声かけとなってしまうため、できる限りそれらの方から一時的に距離を置くなどの対策を行いましょう。
  • 最悪の事態が発生した場合のデータを優先的に集めてしまうこともあります。ネガティブなニュースに対して敏感になっているので、独自にニュースや雑誌やSNSなどのメディアで事例の情報収集をしないように努めましょう。
  • 権威のある媒体からの発信情報をもとに、情報収集を行う様にしましょう。噂レベルの情報を受け取ってしまうことや、真偽が定かでない情報を確認を怠ったまま受け取ることは避けましょう。ソース(情報源)や事実なのか、誰かの解釈なのかは見極めなければなりません。

痛みに影響を与える要因のバランス

痛みは、ネガティブな要因とポジティブな要因のバランスによって増減します。ここでは天秤の比喩で説明しており、ネガティブな要因(右側)が重くなると痛みが増し、ポジティブな要因(左側)が重くなると痛みが減少する様をしたの図で表しています。
改善のためには、ネガティブな要因を減らし、ポジティブな要因を増やす努力が必要です。あなたはどちらの要因が多いでしょうか?

痛みを増やす要因(ネガティブ側): 
破局的思考、恐怖回避、未解決問題、やりがいのなさ、自己効力感の低下、不公平感、疲労、抑うつ、不安、怒り、不眠、責任感の強さ、対人葛藤、孤独など。

痛みを減らす要因(ポジティブ側):
リラックス、快眠、創造的な活動(音楽、歌)、笑い、人とのつながり、適度な運動、生きがい、ストレス耐性、楽観視、楽しみ、適切な食事、自己効力感の向上、安心感など。

痛みを増すストレスへの理解

ストレスとは?

ストレスとは、生体に影響を及ぼす外的刺激が加わると歪みが生じ、その歪みに適応しようとする生体反応のこと。ストレスは「ストレス要因」「ストレス反応」「ストレス耐性」の3つに分けて理解する必要がある。

ストレスは、外的刺激(ストレッサー)によって引き起こされる生体の反応である。
ストレス要因:ストレスを引き起こす外的刺激。
ストレス反応:ストレス要因によって生じる心身の歪みや変化。
ストレス耐性:ストレスによる不具合に対処しようとする力。

ボールを指で押す例で説明すると、押す力(外的刺激)が「ストレス要因」、ボールが凹むこと(歪み)が「ストレス反応」、凹んだボールが元に戻ろうとする力が「ストレス耐性」にあたります。ストレスに対処するためには、何が要因で、どのような反応が起きていて、どうすれば耐性を高められるかを細かく見る必要があります。



痛み・ストレス・抑うつの三角関係

痛み、ストレス、抑うつは相互に影響し合う三角関係にある。どれか一つが存在すると、他の二つを引き起こしやすくなるため、改善には三つの側面から同時にアプローチする必要がある。

痛み、ストレス、抑うつは互いに原因となり、結果となる関係性を持ちます。抑うつは気分が沈み込み、無気力になる状態を指す。
一つの問題だけに対処しようとしても、他の二つが残っていると改善は難しいです。改善のためには、3つの問題に対して同時にアプローチすることが重要となってきます。

例えば、抑うつがあるとストレスを感じやすく、痛みも感じやすくなる。ストレスが原因で抑うつになったり、痛みを感じたりもします。痛みがあることでストレスを感じ、抑うつになることもあります。したがって、薬を飲むだけでなく、ストレス要因を取り除き、痛みの管理も同時に行うなど、3方向からのアプローチが効果的です。



ストレスの4つの要因(ストレッサー)


ストレスの原因となるストレッサーは、大きく分けて「心理的」「生理・身体的」「社会的」「物理的」の4つに分類される。

Screenshot

不安、恐怖、焦り、怒り、憎しみ、嫉妬など。

痛みの改善にはこれらのストレッサーをいかにして減らしていくかが鍵となります。

ストレスを溜めやすい人の特徴

ストレスを溜めやすい人には、性格、思考パターン、認知バイアスが関係している。具体的な特徴として、自分勝手で頑固、厳格なルールに固執する、怒りっぽい、勤勉で真面目、几帳面、責任感が強い、自己犠牲的、協調性が高すぎる、我慢強い、おとなしい(自己主張が苦手)、心配性などが挙げられる。

頑固・厳格な人:固定概念が強く、ストレスを溜めやすい。怒りっぽい傾向もある。

ストレス反応のメカニズム

ストレスを脳が認知すると、体はそれに対抗するために2つの主要なルート(内分泌系と自律神経系)で指令を出す。内分泌系はホルモンを介して、自律神経系は神経を介して体に反応を促す。ストレス反応は、脳の視床下部での認知から始まる。

Screenshot

指令の伝達ルートは「内分泌系(ホルモン)」と「自律神経系(神経)」の2つ。

内分泌系は手紙のように全身にホルモンを送り、自律神経系は直接的な指令を出す。
ストレスを脳が認知すると、視床下部が「不快」と判断する。その後、視床下部から指令が出て、体がストレスに対抗するための反応を起こす。その指令を伝達する手段が、ホルモンを血流に乗せて全身に送る「内分泌系」と、神経を通じて直接的に指令を伝える「自律神経系」である。

内分泌系によるストレス反応(コルチゾールの分泌)

ストレスに反応して、内分泌系では最終的に副腎皮質からコルチゾール(ステロイドホルモン)というストレスホルモンが分泌される。コルチゾールは、血糖値を上げるなどして、体がストレスと戦うための状態を作り出す。
STEP
視床下部 (Hypothalamus) 

ストレス(心理的、身体的問わず)を感じると、脳の視床下部が活性化されます。視床下部は、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン (CRH) やアルギニンバソプレシン (AVP) を分泌し、下垂体へ送ります。

STEP
下垂体 (Pituitary gland)

CRHの刺激により、下垂体前葉は副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) を血中に放出します。ACTHは血流に乗って全身を巡ります。

STEP
副腎 (Adrenal glands)

血中のACTHが腎臓の上にある副腎皮質に到達すると、副腎は糖質コルチコイド(ヒトでは主にコルチゾール)というホルモンを分泌します。 

STEP
コルチゾールが全身で作用
  • エネルギー供給: 血糖値を上昇させ、体がストレスに対抗するためのエネルギー(ブドウ糖)を動員しやすくします。
  • 免疫系の調節: 免疫反応を一時的に抑制し、エネルギー消費を抑えます。
  • 血圧・代謝の調整: 心血管系や代謝系に作用し、生体防御反応を促進します

自律神経系によるストレス反応(アドレナリンの分泌)

ストレスがかかると、自律神経系の中の交感神経が優位になる。これは「闘争か逃走か」の反応であり、心拍数や血圧を上昇させ、戦ったり逃げたりしやすい身体状態を作り出す。この過程でノルアドレナリンやアドレナリンが放出される。

STEP
中枢神経からの指令

脳の視床下部などでストレスや危険、運動などの情報が処理されると、脊髄から交感神経の指令が末梢へ送られます。

STEP
シナプス前神経終末における伝達

指令は、まず神経節(交感神経のニューロンが集合している場所)に到達します。ここで、シナプス前線維の末端からアセチルコリンという神経伝達物質が放出されます。このアセチルコリンがシナプス後線維にあるニコチン受容体に結合し、次の神経細胞を興奮させます。 

STEP
標的器官における情報伝達

興奮したシナプス後線維は、心臓、血管、消化管、汗腺などの標的器官へ伸びています。これらの神経終末から、主要な神経伝達物質であるノルアドレナリン(ノルエピネフリン)が放出されます。

STEP
アドレナリン受容体への結合と反応

放出されたノルアドレナリンは、標的器官の細胞表面にあるアドレナリン受容体(α受容体とβ受容体)に結合します。どの受容体に結合するかによって、異なる生理的反応が引き起こされます。 

  • α1受容体: 血管平滑筋などに存在し、ノルアドレナリンが結合すると血管を収縮させ、血圧を上昇させます。
  • β1受容体: 心臓に主に存在し、結合すると心拍数や心収縮力を増加させ、心臓のポンプ機能を強化します。
  • β2受容体: 気管支平滑筋などに存在し、結合すると**気管支を弛緩(拡張)**させ、空気の流れをスムーズにします。

※副腎髄質からは、神経刺激によりノルアドレナリンだけでなくアドレナリン(エピネフリン)も血中に放出され、ホルモンとしても作用します。

慢性的なストレスが引き起こす身体の不具合


ストレスによる臨戦態勢が長期間続くと、本来正常時に働くべき機能が停止し、様々な身体の不具合が生じる。これは、コルチゾールの過剰分泌や、交感神経が常に優位な状態が続くことによって引き起こされる。


ストレスが体に及ぼす影響


ストレスがかかると、栄養の吸収ができなくなり、睡眠の質が低下します。常に闘争状態となり、体の恒常性(ある一定の状態をずっと保つ機能)に異常をきたします。また、興奮状態が続くことで、皮膚の表面の怪我などを感じにくくなる鎮痛作用が働き、体が疲れているのに疲れとして認識できなくなったり、怪我をしても痛みを感じにくくなったりします。

  • コルチゾールの過剰分泌による不具合:高血圧、精神症状、筋力低下、骨粗しょう症、圧迫骨折、疲労骨折、無月経、尿路結石、糖尿病、易感染性、創傷治癒の遅延、肥満など。
  • 交感神経の優位状態による不具合:高血圧、高体温、消化器系の機能低下(胃腸の不調)。
  • コルチゾールは筋肉を分解して血糖値を上げるため、筋力低下が起こる。
  • コルチゾールは骨を壊す「破骨作用」を強めるため、骨がもろくなる。
  • コルチゾールには炎症を抑える作用があるため、傷の治りが遅くなったり、細菌やウイルスと戦う白血球の働きが抑制されて感染しやすくなったりする。

ストレスによる具体的な症状


ストレスは体の様々な部分に異常を引き起こします。症状が現れる場所によって、出てくるものが異なります。

めまい、耳鳴り、多汗症、聴覚過敏など。



慢性的なストレスが体に及ぼす影響

慢性的にストレスがかかると、栄養の吸収ができなくなり、睡眠の質が低下します。常に闘争状態となり、体の恒常性(ある一定の状態をずっと保つ機能)に異常をきたします。また、興奮状態が続くことで、皮膚の表面の怪我などを感じにくくなる鎮痛作用が働き、体が疲れているのに疲れとして認識できなくなったり、怪我をしても痛みを感じにくくなったりします。

そのせいもあり、疲れているにも関わらずに過剰に頑張ってしまったり、休むことに気が回らなくなり、身体の回復に影響をきたすことがあります。ここに責任感が強いなどの性格的な特性も合わさると、さらに慢性的なストレスにさらされるリスクが高くなります。

副腎の役割と副腎疲労


ストレスに対抗する最終的な臓器は副腎です。ストレスがかかると、交感神経が作用し、副腎髄質からアドレナリンが、副腎皮質からコルチゾールが分泌されます。これらのホルモンが過剰に分泌され続けると、高血圧や精神症状などを引き起こします。しかし、ホルモンは無限に出せるわけではなく、過剰な分泌が続くと副腎が疲労し、今度はストレスに対抗するホルモンを正常に分泌できなくなります。

ストレスへの対処の過程


人間はストレス(ストレッサー)に晒されると、まず「脅威の評価」を行います。その脅威に対して「やっていける」と判断されると「チャレンジ反応」が起き、体温を上げる、運動するなど、適切な行動に移すことができます。しかし、脅威に対して「対抗できない」と感じると、それがストレスになります。次に、そのストレスに対して「対処可能か」を判断し、対処しようと行動します。対処できれば問題ありませんが、対処しきれなかった場合に「ストレス反応」が発生し、様々な症状が現れます。

STEP
脅威の評価

ストレッサーが自分にとってどれくらいの脅威かを評価する。

STEP
チャレンジ反応 or ストレス化

対処可能と判断すればチャレンジ反応が起きる。対抗できないと判断するとストレスになる。

STEP
対処可能性の評価と行動

ストレスへの対処法を知っているか評価し、行動に移す。

STEP
ストレス反応

対処行動をしても状況が改善しない場合に発生し、心身に症状が出る。

この過程において、対処の仕方や方法を知っているか(知識)が重要になります。例えば、寒い時に体をこすって温めるという知識がなければ、その行動に出られず、寒さに対処できません。したがって、ストレス反応に至る前に、脅威の評価を適切に行い、有効な対処法を学び、実行することが大切です。

まとめ

痛みは体の刺激が脳で処理され、「刺激の位置の情報」と「不快感」が合わさって成立します。心の状態は痛みの感じ方に大きく影響し、不安やストレスは痛みを増幅、リラックスや安心は軽減につながります。

ストレスが続くとホルモンや自律神経が乱れ、疲労・不調・慢性痛の悪循環が起こります。正しい知識、認知行動療法、リラクゼーションなどで心身を整えることが、痛みとストレスの改善に重要です。

運動やマッサージやストレッチで不快症状を改善する「運動療法」も非常に有効となります。当協会が提供している、身体改善クラスのレッスンも非常に有効な手立てとなります。

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