ストレスを溜めない思考方法

ストレスを多く抱えてしまう心理的な要因はさまざまです。主な要因を挙げてみましょう。

意識の方向とストレスの関係

生物の危険察知能力は、生命を維持し、生存を確保するために進化的に発達した重要な機能です。危険察知能力は、外部の環境からの潜在的な危険や脅威を早期に察知し、適切な対応を行うことで生物の存続を支えます。

神経系の反応:多くの生物は、外部刺激に対して神経系の反応を示します。例えば、恐怖や驚きを感じると、交感神経が活発に働き、心拍数や呼吸数が増加し、身体が緊張します。

感覚器官の役割:生物は感覚器官を通じて外部の刺激を感知します。例えば、視覚によって危険な動物や障害物を察知し、聴覚によって急速な音や危険信号を捉えることができます。

生存本能の発現:生物は生存本能を持っており、危険を察知すると自己防衛のために身を守る行動を取ります。逃げる、攻撃する、身を隠すなど、個体によって異なる行動が見られます。

複数の感覚の統合:生物は複数の感覚情報を統合することで、より正確な危険察知を行います。例えば、視覚と聴覚、嗅覚と触覚などを組み合わせて、より包括的な情報を得ることができます。

学習と適応:生物は経験を通じて学習し、危険な状況に適応することができます。過去の経験から学んだ知識をもとに、将来の危険を回避することができるようになります。

これらの危険察知能力は、生物が自己保存のために環境に対応する上で重要な役割を果たしています。このような本能的な反応や学習を通じて、生物は環境とのバランスを保ちながら生き延びることができるのです。しかし現代を生きる我々にとっては、この危険察知能力による機能が頻繁に作動してしまうことで、非常にストレスフルとなってしまっています。命の危険が及そうな状況に対して、それをストレス源として体が自動的に反応します。しかし現代では、実際に命を落とす様な危機的な状況は少なくなっています。にもかかわらず、ストレスフルなのには脳の仕組みに原因があります。本能を司る原始的な脳の部位では、そのストレスが命を脅かすほどの脅威なのか、そうでない脅威なのかの判断がつきません。原始的な脳の部位では、ストレス=生命の危機として、扱ってしまうのです。

リバ子

意識が外に向いているだけで、ストレスフルな状況になってしまうなんて・・・

ストレスに対する体の反応

自律神経系の反応

ストレスや興奮などの状況で優位になるの交感神経です。交感神経が優位な状況では、身体にさまざまな反応が現れます。以下に交感神経優位な時の身体反応の一部を挙げてみます:

心拍数と呼吸数の増加:交感神経の刺激により、心拍数と呼吸数が増加します。これによって、体がエネルギーを効率的に供給し、興奮した状況に対応しようとします。

血圧の上昇:交感神経優位な状況では、血管が収縮し、血圧が上昇することがあります。これによって、体内の酸素や栄養素を迅速に運び、筋肉などの臓器に必要なエネルギーや酸素を供給します。

血糖値の上昇:交感神経の刺激により、肝臓からブドウ糖が放出され、血糖値が上昇します。血糖値の上昇によって、エネルギーの供給が増え、身体の活動性が高まります。

瞳孔の拡張:交感神経刺激により、瞳孔が拡張します。これによって視覚の明るさが向上し、注意力が高まります。

筋肉の緊張:交感神経の刺激により、筋肉が緊張し、身体の準備が整えられます。これによって、緊急時には素早く動けるようになります。

代謝の増加:交感神経が刺激されると、代謝が増加します。これによって体温が上昇し、エネルギーを消費しやすくなります。

これらの身体反応は、交感神経が優位なストレスや興奮などの状況で見られるものです。交感神経の活動が一時的であれば、体の機能を高めるために必要な反応ですが、長期的な交感神経の優位な状態は、健康や心身のバランスに影響を及ぼすことがあります。定期的なリラックスやストレス軽減の方法を取り入れることで、交感神経と副交感神経のバランスを保つことが重要です。

クリ先生

ストレスは命を守る反応を体に準備させるための大事なものだったんです。

内分泌系の反応

ストレスや興奮などの状況ではストレスホルモンも同時に体内に分泌されます。ストレスホルモンは、ストレス反応を引き起こす神経内分泌系の物質のことを指します。ストレスホルモンは、ストレスを感じると脳からの指令によって放出され、身体のさまざまな機能を調節し、ストレスに対応する準備を行います。主なストレスホルモンとしては、以下のものがあります。

コルチゾール(Cortisol)

コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるストレスホルモンで、特に長期間のストレスに対応して関与します。コルチゾールは糖新生を促進し、血糖値を上昇させることでエネルギーを供給し、また免疫系の抑制を助けることで炎症反応を抑制します。コルチゾールの過剰分泌は、長期間にわたる慢性的なストレス状態や身体のバランスが崩れた場合に起こることがあります。過剰なコルチゾール分泌は、さまざまな身体的な影響を及ぼす可能性があります。

免疫系の抑制

コルチゾールは免疫系を一時的に抑制するため、長期間の過剰分泌は免疫機能の低下につながります。これにより、感染症や炎症性疾患への感受性が高まります。

血糖値の上昇

コルチゾールは糖新生を促進し、血糖値を上昇させる作用があります。過剰なコルチゾール分泌によって血糖値が上昇すると、糖尿病やインスリン抵抗性などの代謝異常が引き起こされる可能性があります。

筋肉の分解

コルチゾールはタンパク質の分解を促進し、筋肉の分解を増加させる作用があります。長期的な過剰分泌は筋力低下や筋肉の減少につながる可能性があります。

骨の健康への影響

コルチゾールが過剰に分泌されると、骨の形成を妨げるため、骨密度の低下や骨粗鬆症のリスクが増加する可能性があります。

精神的な影響

コルチゾールの過剰分泌は精神的な健康にも影響を及ぼすことがあります。うつ症状や不安、認知機能の低下などが報告されています。

アドレナリン(Epinephrine)

アドレナリンは、副腎髄質から分泌されるストレスホルモンで、急激なストレス状況に対応します。アドレナリンの放出によって、心拍数と呼吸数が増加し、筋肉の収縮が強化されるなど、体の活動性が高まります。

ノルアドレナリン(Norepinephrine)

ノルアドレナリンはアドレナリンと同様に、副腎髄質から分泌されるストレスホルモンで、交感神経の活性化に関与します。ノルアドレナリンは心拍数や血圧の調節、注意と覚醒の増強などに影響を与えます。

リバ子

持続的にストレスに苛まれていると、ホルモンバランスも崩れてしまうのね。

クリ先生

人体はストレスに対して闘争と逃走のモードに体に反映させる手段として、自律神経系と内分泌系を駆使しているのです。

これらのストレスホルモンは、緊急時の身体の反応を調節することで生命を守り、ストレス状態に適応するために重要な役割を果たしています。しかし、長期間にわたってストレスホルモンが過剰に放出され続ける場合は、健康への悪影響を及ぼす可能性もあるため、ストレスを適切に管理することが重要です。ストレス緩和の方法を取り入れることで、ストレスホルモンのバランスを調整し、身体と心の健康をサポートすることができます。

ストレスを溜めやすい性格

完璧主義:完璧主義の傾向が強い人は、自分に非常に高い基準を設定し、それに達しないと不安やストレスを感じる傾向があります。完璧を求めるあまり、自分に対する過度のプレッシャーやストレスを自らかけてしまうことがあります。

マイナス思考:マイナス思考の人は、否定的な視点に固執し、ネガティブな出来事や状況を強調する傾向があります。そうした考え方はストレスを増大させる可能性があります。

自己評価の低さ:自己評価が低い人は、自分に対して否定的な評価をし、自己肯定感が低い場合があります。自分に対して自信を持てないため、ストレスへの対処が難しくなることがあります。

コントロール欲求:すべての状況をコントロールしようとする強い欲求を持っている人は、予期せぬ変化や不確実性に対してストレスを感じることがあります。

不安感:常に不安を感じる傾向がある人は、小さな出来事でも過度に反応し、ストレスを抱え込むことがあります。

社会的要因:人間関係や社会的圧力、孤立感などの社会的要因もストレスを増大させる要因となります。

過去の経験:過去のトラウマや困難な経験が、現在のストレスに影響を与えることがあります。

負のストレスサイクル:ストレスに対する適切な対処法を知らないか、対処できない場合には、ストレスが負のサイクルとなって、さらなるストレスを生じることがあります。

これらの心理的な要因は、個人の性格、経験、状況によっても異なる場合があります。ストレスを抱え込まないためには、自己認識を高め、自分の能力や置かれた状況の客観的な判断が必要です。そしてその判断を妨げてしまう、認知の歪みの修正が重要です。

他責思考とストレスの関係

他責の傾向が強い人、つまり意識の方向が外へ向いている人のストレス状態は、以下のような特徴が見られることがあります:

対人関係におけるストレス:他責の傾向が強い人は、他人に対して過度に気を使い、他人の反応や評価に敏感になる傾向があります。そのため、対人関係でのコミュニケーションや相互作用にストレスを感じることがあります。

自己評価の低下:他責の傾向が強い人は、自己評価が低くなることがあります。自分に対して厳しい目を持ち、自分自身を責めることを避けるために、他人と比較して自己評価が低くなることがあります。

負担の増加:他責の傾向が強い人は、他人の要求や期待に応えようとするため、自分自身に負担をかけることがあります。他人のために頑張りすぎて、自分の限界を超えることでストレスを感じることがあります。

不安や罪悪感:他責の傾向が強い人は、他人に対して過度に気を使い、他人の感情や状況に敏感に反応することがあります。その結果、他人との関係に不安を感じたり、自分が他人に対して十分なサポートをしていないと罪悪感を感じたりすることがあります。

ストレスへの適切な対処の困難さ:他責の傾向が強い人は、自分自身で問題を解決するよりも他人に頼ろうとする傾向があるため、ストレスへの適切な対処が難しいことがあります。自分の感情やニーズを適切に理解し、自己ケアを行うことが難しくなることがあります。

他責の傾向が強い人は、自己認識を高め、自己肯定感を強化することでストレスへの対処が改善されることがあります。

ストレスを抱えやすい認知の歪み

ストレスを抱えやすい認知の歪み、または認知の歪みとは、現実の状況を偏った視点や解釈で捉える心の傾向を指します。これらの認知の歪みは、ストレスの原因となる出来事を過度に否定的に解釈したり、問題の対処法を制限したりすることにつながります。以下に代表的なストレスを抱えやすい認知の歪みをいくつか挙げてみます:

過大評価 (Magnification):問題や不安要素を過大に評価して、それが取り返しのつかないほど深刻だと感じる傾向です。小さな出来事を大きな問題として認識してしまうことがあります。

予測の的外れ (Catastrophizing):未来の出来事を最悪のシナリオとして想像し、それが実際に起こると信じる傾向です。不安な状況を過度に強調して、自分の心を追い込んでしまいます。

フィルタリング (Filtering):情報や経験の中からネガティブな要素だけを選択的に注目する傾向です。ポジティブな側面を見落としてしまい、ネガティブな側面だけが強調されます。

個人化 (Personalization):他人の行動や状況を自分に対する攻撃や批判として解釈する傾向です。他人の行動を自分に向けたものだと捉えて、ストレスを感じることがあります。

感情的推論 (Emotional Reasoning):自分の感情を根拠にして、事実ではないところから結論を導き出す傾向です。感情に支配されて冷静な判断ができなくなることがあります。

これらの認知の歪みが複合的に現れることで、ストレスが蓄積しやすくなる場合があります。ストレスを軽減するためには、これらの認知の歪みに気付き、適切な認知の修正を行うことが重要です。心理学的なアプローチやカウンセリングを通じて、認知の歪みを改善し、より健康的なストレスマネジメントができるようになることが目指されます。

クリ先生

認知の歪みや、感情に支配された主観的な判断をしてしまわないように、客観的に物事が起きた原因をみる必要があります。

リバ子

客観視が大事とはよくいうけど、なかなか難しいわ。
どうやって客観視すれば良いのかも分からないもの。

クリ先生

物事の発生した原因を客観的に見る際に用いるのが原因帰属という考え方です。

原因帰属

原因帰属(Attribution)とは、人が自分自身や他者の行動や出来事に対して、なぜそれが起こったのかを理解しようとする認知のプロセスを指します。人は何か出来事や行動に対して、その原因を解釈し、その原因によって感情や行動が影響を受けることがあります。原因帰属の考え方は、自己や他者の行動に対する認識や評価に大きな影響を与える重要な要素となります。

内部的要因(Internal Attribution)

出来事や行動の原因を自分自身の内部的な要因に帰する認識のことを指します。例えば、成功した場合には自分の能力や努力によるものだと考えることが内部的要因です。逆に失敗した場合には、自分の不注意や無能によるものだと考えることも内部的要因になります。

外部的要因(External Attribution)

出来事や行動の原因を外部的な要因に帰する認識のことを指します。他人の行動に対しては、その状況や他の人の影響によるものだと考えることが外部的要因です。自分の失敗に対して他の要因を挙げることも外部的要因になります。

クリ先生

外部と内部の判断に、持続的と一時的の判断軸もプラスします。

リバ子

こうやって分類表で分けて考えてみると分かりやすいわ!

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