腰痛の原因、実はストレス　〜痛いのは心が作り出している？〜

頻繁にぎっくり腰になる。
慢性的な肩こりに悩まされている。
なぜかずっと膝が痛い。

このように長く続く痛みに悩んでいませんか？

原因がわからず、頻繁に繰り返す痛みがあったり。一度痛み出すと長く続き、数ヶ月かけて徐々に良くなったのにまた痛いなんてことがある方の原因はもしかしたらストレスなのかもしれません。

今回は原因不明で長く続く痛みや辛さはどこからやってくるのか？その、仕組みを紐解いていきます。原因や発生する機序がわからなければ、どのように対処をすれば良いのかわかりませんよね？
今回の記事では、これら痛みの原因を紐解いていき、長く付き合っている痛みとの決別方法をシェアします。

動画で解説！

痛みを感じる場所は脳である

痛みは体で感じた後、最終的に脳で認識される。ストレスがあると痛みが発生しやすくなり、痛みがあるとストレスを感じやすくなる。痛みを感じる仕組みと、慢性痛とストレスの関係について解説します。

痛みの発生から認識まで

体で感じた痛みは、脳に伝達されることで「痛み」として認識される。痛みの感覚はまず脳の「視床」に入り、そこから「体性感覚野」に送られることで、痛みの場所（手が痛い、腰が痛いなど）が特定される。脳が痛みを認識して、「痛いのだ」と解釈すると痛みと感じます。なので脳の状況によって痛みに対する感じ方や敏感さが変化します。よって人によって痛みに対する感じ方は千差万別です。もしあなたの周りで痛がっている人がいた場合、「そんなことで大袈裟な」と思ったとしても、本人の中では強烈な痛みであることもあります。また逆に、「自分の痛みを周りの皆が理解してくれない」ということも発生します。

痛みの定義

痛みは、物理的な情報（どこが痛いか）と「不快感」という感情が合わさって成立します。痛いというシグナルが

痛みの情報処理プロセス

大脳新皮質（新しい脳）: 理性や知性を司り、痛みの場所などの情報を処理する。
大脳辺縁系（古い脳）: 本能や生命維持に関わり、「不快感」という感情を処理する。特に「扁桃体」がこの役割を担う。

2. 痛みとストレス（心因性）の関係

心の状態が痛みの感じ方を変える

脳が痛みを処理するため、その時の心の状態が痛みの感じ方に大きく影響する。不安や悲しみを感じている時は痛みをより「不快」に感じやすく、幸福感や楽しさを感じている時は不快感を感じにくく、痛みが軽減されることがある。

痛みと心の相互作用

痛みは心にダメージを与え、ストレスの原因となる。逆に心のストレスが原因で、痛みを感じやすくなる。このように「体」「脳」「心」は三位一体で複雑に絡み合っている。

痛みの増減に関わる要因（天秤のイメージ）

痛みを増やす要因（ネガティブ側）: 
破局的思考、恐怖回避、未解決問題、やりがいのなさ、自己効力感の低下、不公平感、疲労、抑うつ、不安、怒り、不眠、責任感の強さ、対人葛藤、孤独など。

痛みを減らす要因（ポジティブ側）: 
リラックス、快眠、創造的な活動（音楽、歌）、笑い、人とのつながり、適度な運動、生きがい、ストレス耐性、楽観視、楽しみ、適切な食事、自己効力感の向上、安心感など。

3.心因性が引き起こす症状と変化

身体症状症

心の状態が原因で、体の様々な場所に痛みや不具合を感じる状態。

うつ（抑うつ）

気分が沈み込み、ネガティブな思考が繰り返されることで、痛みの原因となる。

自動思考による認知の変化（脳の可塑性）

同じ痛みが繰り返し入力されると、その痛みを伝える神経ネットワークが強化され、痛みに対して敏感になる。痛みの原因がなくなっても、脳内で「痛い」という情報だけが駆け巡り、痛みを感じ続けることがある。

慢性痛と負のループ

痛みが発生した際、「もう治らない」といった破局的思考に陥ると、不安や恐れが増大する。
その結果、痛みを避けるための回避行動（運動しないなど）や過剰な警戒心が生まれ、機能障害や抑うつにつながる。
これらがさらなる痛みを生み出し、「痛み → 破局的思考 → 不安・恐れ → 回避行動 → さらなる痛み」という負のループに陥る。

幻肢痛（ファントムペイン）

事故などで失ったはずの部位に痛みを感じる現象。脳内に「足が痛い」という神経回路が構築されてしまっているために起こる。

4. 脳の機能と痛みの関係

研究事例（アメリカンフットボール部員への調査）

膝に損傷がないのに「痛い」と答えた人や、損傷があるのに「痛みを感じない」と答えた人がいた。このことから、実際の体の損傷よりも、脳が「痛い」と感じるかどうかが痛みの認識において重要であるとわかる。

神経伝達物質の役割

脳の神経回路は、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質によって機能している。これらの物質が正常に機能することで、痛みの伝達を抑制したり、痛みを和らげる作用が働く。

5. ストレスの要因と対処の重要性

ストレスとは

生体に影響を及ぼす外的刺激（ストレッサー）が加わると歪み（ストレス反応）が生じ、その歪みに適応しようとする生体反応のこと。

ストレスの要因（ストレッサー）

心理的: 不安、恐怖、怒り、悲しみなど。
生理・身体的: 痛み、疲労、睡眠不足、病気（感染症）など。
社会的: 人間関係のトラブル（叱責、衝突）、経済問題など。
物理的: 暑さ・寒さ、寒暖差、湿度、騒音、人混み、外出制限（コロナ禍など）など。

ストレスを溜めやすい人の特徴

頑固、真面目、自己犠牲的、我慢強い、言語化が苦手、他人の目を気にする、心配性など。
心配事の約90%は実際には起こらないとされる。