人体は、力で損をする設計になっている

骨格の力学とアライメント ― The Kuriyama Protocol 第4章

人体は、力で損をする設計になっている

骨格の力学とアライメント ― The Kuriyama Protocol 第4章

栗山智光(一般社団法人 人間コンシェルジュ協会 理事長)
公開日:2026年10月27日
DOI:10.5281/zenodo.23685960
連絡先:contact@medi-gym-revital.com
第1弾「検証されていない8つの予測」:10.5281/zenodo.23587879
第2弾「棄却の記録」:10.5281/zenodo.23587670
第3弾「画一的なフォーム指導は、不適切なのではなく、実行不可能である」:10.5281/zenodo.23526074
第4弾「最適解は、信号ゼロとして現れる」:10.5281/zenodo.23609857
第5弾「対照群を作れない現場で、因果を取る」:10.5281/zenodo.23610607
第6弾「意識は、設定しか渡せない」(第1章):10.5281/zenodo.23682055
第7弾「足裏は、押すことしかできない」(第2章):10.5281/zenodo.23684537
第8弾「視覚は、自分を見るためにあるのではない」(第3章):10.5281/zenodo.23684996

書籍の章ごとに公開している、その4本目です。第2章と第3章(第7弾・第8弾)では、力が入る境界と、座標が入る境界を扱いました。この章からは、その内側にある機構に入ります。最初は骨格です。

骨格は、力を伝える構造です。同時に、どの向きには動いてよく、どの向きには動いてはいけないかを決める制約でもあります。この制約を破ると、身体は壊れます。

8つの節を、主張・観察・導出・照合・判定・予測の順で書きます。見直しの中で、書籍の側に5つの穴が見つかりました。そのうち1つは、第6弾で私が書いた「意識は設定しか渡せない」という主張の、言い過ぎの部分に関わります。9節にまとめています。

この記事の構成
  • 1 人体は、力で損をする設計になっている
  • 2 モーメントアームを短くする
  • 3 回旋を担う場所と、1つの禁止領域
  • 4 膝は蝶番ではなく、螺旋である
  • 5 回旋には、必ず別の動きが伴う
  • 6 圧縮は骨が、張力は軟部組織が受ける
  • 7 関節は、締まる向きと緩む向きを持つ
  • 8 5つの観測点と、垂直の認知
  • 9 この記事を書きながら見つけた5つの穴
  • 10 登録する予測(5件)
  • 11 反証を歓迎します
  • English summary/文献/作り方
INDEX

1 人体は、力で損をする設計になっている

主張

人体の関節の大半では、筋が骨に付く位置が関節のすぐ近くにあります。この配置では、外の物を動かすために、筋は外の力の数倍から十数倍の張力を出さなければなりません。人体は、力で損をして、速さと動く範囲で得をする設計になっています。

筋の張力 = 外の力 ×(外の力のモーメントアーム ÷ 筋のモーメントアーム) 手先の速さ = 筋の縮む速さ ×(外の力のモーメントアーム ÷ 筋のモーメントアーム) 意味:モーメントアームとは、関節の回転の軸から、力の働く線までの距離です。1行目は、てこのつりあいです。筋が関節のすぐ近くに付いていると、筋の側のアームが短いので、同じ回す効果を出すために大きな張力が要ります。2行目は、同じ比が今度は得の側に働くことを表します。筋がわずかに縮むだけで、手先は大きく、速く動きます。損と得は、同じ1つの比の表と裏です。
例:肘で、筋のアーム 4 cm、手に持った物までのアーム 35 cm のとき 比 = 35 ÷ 4 ≈ 9 手に5 kg(約49 N)を持つと、力こぶの筋の張力は約430 N。筋が1 cm縮むと、手は約9 cm動く 意味:数値は式の感触をつかむための仮定です(前腕そのものの重さは含めていません)。5 kgの物を持つだけで、筋はおよそ44 kg分の力を出しています。その代わり、筋の1 cmの短縮が、手先の9 cmの移動になります。

観察

2026年8月、講座にて
「本来、振り子がこうやって振れる時って皆さんこうやって先端こうやって触って動かしちゃうんだけどもこれやる人は疲れる人ですか。筋力使ってるんで上側、これね振り子の支点じゃないですか。支点、支える点、世界と支点ね。支点がちっちゃく動くだけで先端で増幅されるのわかります。」

[著者資料]講座の教科書には「くるぶしの関節(距腿関節)を支点とし、ふくらはぎの筋肉が収縮することで、足首は強力なテコの動きを発生させます」とも書いています。

導出

損をしているのに、なぜこの設計なのか。上の2行目の式が答えです。損をしているのは力であって、得をしているのは速さと動く範囲です。観察の振り子は、この構造をそのまま示しています。支点の近くを小さく動かせば、先端は大きく動きます。先端を直接動かそうとすると疲れます。これは、第6弾の4節で書いた「末端に意識を向けると固まる」と同じことを、力学の側から言っています。

投げる、打つといった動作で手先が速くなるのは、この配置を連鎖させているからです。一方、力そのものが要る場面では、この設計は不利です。だから人体は、力が要るときには外の構造を使います。足のアーチとテコ(第7弾)、床反力、そして重力そのものです。

照合と判定

てこの3つの分類と、人体の関節の多くが「力点が支点と作用点の間にある」第3種のてこにあたることは、バイオメカニクスの標準的な記述です(Neumann, 2017)。新しいのは、これを指導の設計の出発点に置いていることです。人体が力で損をする以上、出力を増やす方法は筋を鍛えることだけではありません。採用。

2 モーメントアームを短くする

主張

外の物を扱うとき、身体が出すべき回す力(トルク)は、物の重さと、関節から物までの水平の距離の積で決まります。重さを変えられないなら、距離を変える。同じ重さでも、どこに置くかで、どの関節がどれだけ働くかが決まります。

必要なトルク = 物の重さ × 関節から物までの水平の距離 例:20 kg(約196 N)を体から40 cm離して持つと約78 N·m、20 cmなら約39 N·m 意味:同じ物でも、身体から離すほど、関節が出すべきトルクは距離に比例して増えます。距離が2倍なら、物による分のトルクも2倍です。ただし実際の腰には、物の分に加えて、上半身そのものの重さによるトルクもかかります。前かがみになるほど、こちらも大きくなります。この例は物の分だけを計算しています。

観察

[著者資料]書籍原稿『フレイルなんかこわくない!健康長寿スクワット』(2025年5月、再校)
「背骨から遠くになればなるほどテコの原理で負担がどんどん大きくなるので、密着させられるような工夫もしたりします。ウエストポーチを使ったり、リュックサックを背負う時には紐をタイトにし、体になるべく密着させます。」
[著者資料]教材『ファンクショナルトレーニング・ロードマップ』「スクワットのフォームによって筋活動が異なる理由」
「ハイ・バーではバーベルの位置が高いため、体幹の前傾が浅くなり、股関節を曲げる角度も浅くなります。そのため、股関節の位置とバーベルからの垂線との距離であるモーメントアームが短くなります。」
「モーメントの大きさはそれに抗する筋活動の大きさを示すため、膝関節を伸ばそうとする大腿四頭筋の筋活動はロー・バーよりもハイ・バーのほうが大きくなります。」

[口述の要約]2026年10月の聞き取りでは、鞄を体に寄せて持つ場合と、離して持つ場合を受講者に比べてもらい、「全然違う」と驚かれた場面が語られています。講座での逐語は、まだ取れていません。

導出

教材の2つ目の引用が示しているのは、この式が「どの関節を主に使うか」まで決める、ということです。バーベルの位置を数センチ変えるだけで、股関節と膝関節のモーメントアームの長さが入れ替わります。書籍は、ここから「筋を意識して切り替えているのではない。幾何が決めている」と書き、さらに第6弾の帯域の話につないで、「意識はどの筋をどれだけ働かせるかを指示することはできない。できるのは、位置を変えることだけである」と書いていました。

この最後の一文は、言い過ぎでした。9節の穴1です。そして教材の「モーメントが大きい方が、その筋の活動も大きい」という推論も、文献の測定では確かめられていませんでした。9節の穴2です。

照合

荷物を身体に近づけることが腰の負担を下げることは、人間工学の標準的な指針です(Waters ら, 1993)。

ハイバーとローバーのスクワットを比べた研究では、股関節のモーメントはローバーで大きく、膝関節のモーメントはハイバーで大きく出ました。モーメントについては教材のとおりです。ところが、太ももの筋の活動(筋電図)は、むしろローバーの側でわずかに高かったと報告されています(Wretenberg ら, 1996)。この研究は、ハイバーを重量挙げの選手、ローバーをパワーリフティングの選手が行っていて、人も違います。いずれにしても、「モーメントが大きい関節の筋ほど活動が大きい」は、この研究では確かめられていません。

一方、意識の側の効果も報告されています。ベンチプレスで、胸の筋や腕の裏の筋に意識を向けるよう指示すると、その筋の筋電図が、最大挙上重量の20〜60%の重さでは上がり、80%では上がらなかった、という研究があります(Calatayud ら, 2016)。意識は、筋への配分を少しは変えられます。ただしその効果は重さが増すと消えます。

判定

修正して採用。「幾何が筋の配分を決める」は、モーメントについては支持されますが、筋の活動については未確認です。「意識は筋の配分を指示できない」は、「意識による配分の変化は、軽い負荷では起きるが、重い負荷では消え、幾何による変化より小さい」という予測に置き換えます(予測39)。

3 回旋を担う場所と、1つの禁止領域

主張

身体の回旋を担うのは、足部、膝(曲げた膝でのすねの回旋)、股関節、胸椎(肋骨のあたり)、首の上部、眼球です。そして1か所、回旋してはいけない場所があります。腰椎です。腰椎の関節は、面の向きが前後方向に近く、曲げ伸ばしは許しますが、回旋はほとんど許しません。それでも回せば、構造が受け止めるのは、ずれる向きの力(剪断)です。

書籍の5か所の列挙には、膝が入っていませんでした。9節の穴3です。

観察

<1>日付未取得、講座にて
「肋骨の位置でねじってください。ウエストではないです。(中略)皆さんはウエスト部分、要するに腰とかがある部分から回してしまうと骨折します。なのでウエスト部分からねじったらアウトです。この腰の部分の骨折のことを分離症って言います。腰椎骨折したくなかったら、ねじるのは肋骨からお願いします。」
<2>2026年8月、講座にて
「ジョイントバイジョイントセオリーって言います。動くところは動けよ、安定してるところは安定しろよっていうことです。安定しないといけないところが動いちゃうと壊れます。(中略)動かないところが動いてないと壊れます。」
<3>日付未取得、講座にて
「足首が硬い人どうなるの。ってここが動いてない部分の動きが、他が代償を払います。動き足りてないねん。足首、私動けへん、動かんないねんって言ったら、どこがしわ寄せてくるかわかる。その両端が被害を被るんです。なので足首が動かない人は、この足回りに不具合出るか、膝に不具合出ます。」
<4>日付未取得、講座にて
「じゃあ股関節が本来動かないといけないのに動かない人ってどこに症状がくるかわかります腰そう、腰か膝にくるってことね。」

導出

課題が要求する回旋角 = 足部 + 膝 + 股関節 + 胸椎 + 首の上部 + 眼球 + 腰椎 意味:課題が要求する回旋の角度は決まっています。左辺は変えられません。右辺のどれかが小さくなれば、残りのどれかが大きくならざるをえません。腰椎の項は小さくあるべきですが、他の項が足りなければ、足りない分が腰椎に回ってきます。<3><4>の「両端が被害を被る」は、この式の運用上の言い方です。書籍の式には膝の項がありませんでした。

つまり腰椎の問題は、腰椎の問題ではありません。上(胸椎)と下(股関節)の動きの不足が、腰椎に現れています。

第8弾の穴1で書いたとおり、両足を床に着けたまま骨盤を回すと、左右の股関節は同じ角度を同時に使うので、股関節が稼げるのは一方向におよそ45度までです。両足を着いたまま大きく回るには、膝から下のねじれが要ります。膝を入れずに式を書くと、その分が見かけ上、腰椎や胸椎の要求として計算されてしまいます。

照合

腰椎の関節の面の向きが前後方向に近く、回旋の動きが小さいことは、脊椎のバイオメカニクスの標準的な記述です(Bogduk, 2005)。腰椎分離症(腰椎の後ろの部分の疲労骨折)は、反らす動きとひねる動きを繰り返す競技で起きやすいことが知られています。<1>の「腰から回すと骨折する」は、この機序を現場で縮めた言い方です。1回ひねっただけで折れるわけではなく、繰り返しによる疲労骨折です。Joint by Joint の考え方は、トレーニングとリハビリテーションで広く使われている整理です。

判定

修正して採用。回旋を担う場所に膝を加えます。「回すと骨折する」は、繰り返しによる疲労骨折の機序として書きます。

4 膝は蝶番ではなく、螺旋である

主張

膝の曲げ伸ばしには、必ず回旋が伴います。伸ばし切る手前で、すねの骨と太ももの骨は、互いに逆向きにねじれて噛み合います。この相対的なねじれには正常な範囲があり、崩れはその範囲の両側で起きます。ねじれが失われる崩れと、ねじれが過剰になる崩れです。

膝の相対回旋 = すね(下腿)の回旋 − 太もも(大腿)の回旋 崩れ1:相対回旋が正常範囲より小さい(上も下も内旋にそろう) 崩れ2:相対回旋が正常範囲より大きい(すねは外旋、太ももは内旋) 意味:膝で問題になるのは、すねや太ももがそれぞれ空間の中でどちらを向いているかではなく、その差です。差が小さすぎても大きすぎても崩れになります。見た目はどちらも「膝が内に入る」ですが、式の上では逆向きの崩れです。

観察

[著者資料]教材『ファンクショナルトレーニング・ロードマップ』「スクリューホームムーブメント CKCの場合」
「足先が固定されている状況では膝関節の伸展の際に脛骨は外旋することができません。すると外旋することができない脛骨に代わって、大腿骨が内旋するように運動連鎖します。」
<1>2026年6月、講座にて
「どうねじれてるかっていうとつま先は外向くわ。なのに膝が中入ってるわってやつです。(中略)つま先が外向いてて、膝は正面、もしくは膝は中に入ってるんです。これ、ねじれてるのわかりますねじれちゃってです。」
<2>2026年6月、講座にて
「親指にタコがある人とか親指の皮が厚い人ってもう必ず100%ねじれてます。(中略)親指に体重増やし目にやってみてください膝がスコンって入ってくるのわかりますかこれねじれてるんです。」
<3>2026年4月、講座にて
「膝はくるぶしよりも中に入ったらアウトでしたよね。(中略)内くるぶし側に行っちゃったらアウトなんです。」
<4>日付未取得、講座にて
「僕らの股関節は深く曲げる時には外旋しないと深く曲がらないので、深く曲げたいのに内旋しちゃってると曲がらないんですよ。」

[著者資料]講座の教科書の「崩れの連鎖」には、足の内側への倒れ込み(距骨下関節の回内)→すねの内旋→膝の外反と内旋→太ももの内旋→股関節の内旋→骨盤の前傾、という上向きの連鎖を図示しています。

導出

崩れ1は、教科書の連鎖そのものです。足の倒れ込みがすねの内旋を呼び、股関節の側からも内旋が入り、上も下も内旋にそろいます。相対的なねじれが消えれば、噛み合わせの仕組みが働かないまま、膝は内に倒れる動きを止める仕事だけを負います。<2>は、親指側に体重を増やすだけで膝が内に入るという、この崩れの実演です。

崩れ2は、<1>の場面です。しゃがむときに膝が内に倒れ、それを打ち消すためにつま先を外に開くと、すねは外旋し、太ももは内旋したまま残ります。上下が逆向きに、正常より大きくねじれます。

見分ける手がかりは、つま先と膝の向きの関係です。つま先が膝と同じく内を向いていれば崩れ1、つま先が外に開いているのに膝が内に入っていれば崩れ2です。指導の向きも逆になります。崩れ1では内旋の連鎖のどこかに外向きの入力を入れ、崩れ2ではつま先の開きを戻して上下の向きをそろえます。同じ「膝を正面に向けて」という指示でも、崩れの種類によって意味が変わります。

なお、教科書のスクワットでは、つま先を30度ほど外に向けます(第7弾の5節)。これは崩れ2ではありません。膝がつま先と同じ向きに出ていれば、相対回旋は正常範囲にあります。問題は、つま先の向きそのものではなく、つま先と膝の向きの食い違いです。

照合

伸ばし切る手前の回旋(スクリューホームムーブメント)と、足が固定されているときに太ももの骨が内旋することは、膝のバイオメカニクスの標準的な記述です(Neumann, 2017)。足の倒れ込みがすねの内旋を誘い、膝が内に入ることも、運動連鎖の標準的な記述です(Tiberio, 1987)。膝が内に入る動き(ニーイン)が膝の怪我の危険と関係することも報告されています(Hewett ら, 2005)。2つの崩れを、つま先と膝の向きの関係で見分ける基準は、私の導出で、まだ現場で見分けている場面の記録はありません。

判定

採用。崩れは相対回旋の正常範囲の両側に起きます。

5 回旋には、必ず別の動きが伴う

主張

回旋は単独では起きません。横への傾き(側屈)が伴い、上下で逆向きの回旋が伴います。

観察

日付未取得、講座にて
「下半身は真横向きたい上半身は正面に残せてたいっぱいねじりたいちなみにねじれる体は美しく見えますからねねじれるかどうかっていうのはエラーが起きてるかどうかの差なんですよ。」
「下半身は窓側に回ってるけど、上半身は正面に残ったままですよ。一緒に向いちゃってたらねじれてないですからね。」

[著者資料]教科書の「ワンレッグ 片足立ち」には、骨盤と胸郭が互いに逆向きに回ることで頭を支持足の真上に保つ、と書いています。

導出と照合

「一緒に向いちゃってたらねじれてない」が、この節の中心です。上下が逆を向いていることが、ねじれの定義になっています。4節の膝と同じ構造です。膝で上下の骨が逆向きにねじれるのと同じように、体幹でも上下が逆向きに回ります。逆向きであることが働きで、同じ向きにそろうことが崩れです。片足立ちでは、骨盤と胸郭が逆向きに回ることで、頭が支持足の上に留まります。

背骨の回旋と側屈が連動すること(カップリング)は古くから記述されていますが、どちら向きに連動するかは、部位と姿勢で変わると報告されています。骨盤と胸郭の逆向きの回旋は、歩行の標準的な記述と一致します。

判定

採用。ただし、側屈がどちら向きに伴うかは一律に決まらないため、書きません。

6 圧縮は骨が、張力は軟部組織が受ける

第7弾の3節で、足のアーチを三角形のトラスとして扱い、骨が押し合い、腱膜が引っぱる分担を式にしました。同じ分担は全身にあります。体幹では、肩甲骨の裏から反対側の腹斜筋へ、背中側では広背筋から反対のお尻へと、斜めのつながりがたすき掛けに走っています。

日付未取得、講座にて
「肩甲骨の裏側の筋肉、前鋸筋、腹斜筋、反対側の腹斜筋へと斜めにつながります。(中略)肩の後ろ広背筋から反対のお尻にかけて斜めのたすきがけ上のつながりが出来上がっています。先ほどやった動きって、このつながりが伸びてるのわかりますか前側のつながりが伸びていて、後ろ側の斜めのつながりが縮んでるんです。これがきちんとできた時に、表のクロスと裏のクロスのテンションが整います。」

人体をテンセグリティ(圧縮材どうしが触れず、張力の網で形を保つ構造)とみなす見方が提案されています(Levin, 2002)。ただし、テンセグリティでは圧縮材が互いに接触しませんが、人体では関節面で骨と骨が直接触れて圧縮を伝えています。人体は純粋なテンセグリティではありません。この記事では、圧縮と張力の分担を説明する比喩としてだけ使います。

7 関節は、締まる向きと緩む向きを持つ

主張

関節の自由度は、設計のときに決まった定数ではありません。同じ関節が、回す向きによって締まり、あるいは緩みます。人体は、結合の強さを変えることで、使える自由度の数そのものを変えています。

観察

<1>2026年9月、講座にて
「股関節も靭帯が斜めについてます。なので、ある方向に回すと緩むし、ある方向に回すと締まるんですね。」
<2>2026年9月、講座にて
「股関節を外旋させると、股関節は緩む構造をしています。内入れると締まるんです。なので膝が中入った状態でこれやると股関節詰まります。膝外持っていくと緩むんで、緩ませるにはこっちのポジションです。おしっこ我慢する時って膝どうするんですか内入れて閉じますよね。締めるポジションだからです。」
<3>2026年9月、講座にて
「僕らはね、関節を曲げていくと、緩む性質があるんです。緩むんです。骨盤底も緩むし、股関節も緩むんです。靭帯とかそういった骨の構造が緩むようにできています。」

導出

靭帯は関節のまわりに斜めに付いています。斜めに付いた紐は、ある向きに回せば巻きついて締まり、逆に回せばほどけて緩みます。股関節では、伸ばして内に回すと締まり、曲げて外に回すと緩みます。押し切るときは関節を締めて剛くし、受け止めるときは緩めて衝撃を吸収する、という使い分けの、骨格の側からの根拠です。

ロボットでは、関節の数と自由度は設計のときに決まります。人体では、同じ構造が、回す向きによって剛にも柔にもなります。第7弾4節の足のウインドラス機構と同じく、指令ではなく配置で剛性が変わる仕組みです。

照合

関節には、関節面の合わさりが最大になり靭帯が最も張る位置(締まりの位置)と、それ以外の緩みの位置があります。股関節の締まりの位置は、伸展・外転・内旋の組み合わせとされます(Neumann, 2017)。<1><3>と、<2>の「外旋で緩み、内旋で締まる」は、これと一致します。曲げた股関節に内旋(と内転)を加えると詰まる感じが出ることは、臨床の股関節のつまりの検査(屈曲・内転・内旋を組み合わせる検査)とも整合します。

ただし、<2>の「おしっこを我慢するとき膝を内に入れて閉じるのは、締めるポジションだから」という説明は、半分しか合いません。膝を閉じる動きには内旋だけでなく内転が入りますが、締まりの位置は外転を含み、内転を含みません。9節の穴4です。

判定

採用。ただし、おしっこを我慢する姿勢の説明は修正します。

8 5つの観測点と、垂直の認知

主張

アライメントを見る点は5つあります。頭、胸椎、骨盤、膝、足です(私の教材では BIG5 と呼んでいます)。土台が傾けば、上の段は傾くか、傾きを打ち消す向きに曲がります。そして人は、自分が傾いていることを、自分では検出しにくい。垂直は、外から取り直すしかありません。

頭の水平のずれ ≈ Σ(各関節での傾き × その関節から頭までの高さ) 意味:身体を積み木として見て、下から足首、膝、股関節、胸椎、首の各関節で、上の段がどれだけ傾いているかを足し合わせます(角度が小さいときの近似)。同じ1度の傾きでも、低い関節での傾きほど、その上に積まれた高さが大きいので、頭のずれに大きく効きます。書籍では「各段の高さ × 各段の傾き」と書いていましたが、掛ける高さは「その関節から頭までの高さ」です。

観察

2026年8月、講座にて
「直立になった瞬間が一番わかりやすい方法があるんです。それはね、頭の上で何十キロかの荷物積んでください。絶対に直立じゃないとこれできないんですよ。」

[著者資料]教材には「耳垂・肩峰・大転子・膝関節前面・外果前方が一直線」「垂直に近ければ近いほど、支持に筋力が要らない」、教科書の「崩れの連鎖」には「積み木でバランスを取るのと同じ、下のアンバランスを修正するため、上が代償して体が全体として辻褄が合うよう姿勢の自動修正が施される」と書いています。

導出

なぜこの5点なのか。足は力が出入りする境界(第7弾)、膝は上下の骨が相対的にねじれる交差点(4節)、骨盤は背骨の土台、胸椎は回旋を担う場所(3節)、頭は座標を取るセンサーが載る場所(第8弾)です。5点は、ここまでの章で扱ってきた経路の通過点と一致しています。

垂直に立てているとき、作用と反作用は鉛直方向で釣り合い、支えに筋力が要りません。つまり垂直は、必要なトルクが最小の状態です。第4弾で書いたとおり、必要なトルクが最小の状態は、感覚に入る信号も最小です。垂直に近いほど、本人には何も感じられません。そのうえ、傾いていても上の段が辻褄を合わせるので、傾いたまま安定してしまいます。傾いた状態が、本人にとっての垂直になります。

観察の「頭の上に重い荷物を載せる」は、本人の側で垂直を取り直す手続きです。荷重を増やすと、垂直からのずれが大きなトルクとして感じられるようになります。第4弾で書いた、感度の低い人に重さを足すと効く、という話の全身版です。

照合

耳たぶ、肩、股関節の外側の出っぱり、膝、外くるぶしの点を鉛直線と比べて立位を評価する方法は、姿勢評価の標準的な手技です。頭上に荷物を載せて運ぶ習慣を持つ人たちが、体重の20%までの荷物なら、エネルギーの消費を増やさずに運べたという報告があります(Maloiy ら, 1986)。ただしこれは運ぶ効率の研究で、頭上の荷重で垂直の感覚が取り直されるかどうかを調べた研究は見つけていません。

判定

採用。BIG5 は教材上の用語です。ただし書籍の予測は、この節の主張と食い違っていました。9節の穴5です。

9 この記事を書きながら見つけた5つの穴

穴1 「意識はどの筋を働かせるかを指示できない」は言い過ぎだった

書籍は4-2節で、第6弾の帯域の話(意識の出口は毎秒約10ビット)につないで、「どの筋をどれだけ働かせるかを指示することはできない。できるのは、位置を変えることだけである」と書いていました。

しかし、ベンチプレスで特定の筋に意識を向けると、その筋の筋電図が上がることが報告されています(Calatayud ら, 2016)。そして帯域の議論とも矛盾しません。「胸の筋を使う」は、数ビットで渡せる1つの設定です。第6弾の主張は「意識は毎秒の制御指令を送れず、設定しか渡せない」であって、「筋についての設定は渡せない」ではありません。書籍は、その2つを取り違えていました。

同じ研究は、もう1つ大事なことを示しています。意識による変化は、最大挙上重量の60%までは出て、80%では消えました。重い負荷では、筋の配分は課題の力学に決められ、意識の設定が入り込む余地がなくなる、と読めます。予測39は、この読み方を確かめる形にしました。

穴2 「モーメントが大きいほど、その筋の活動も大きい」は確かめられていなかった

私の教材は、ハイバーでは膝のモーメントが大きいので、大腿四頭筋の活動もハイバーで大きい、と書いています。書籍はこれを「幾何が筋を決める」の根拠にしていました。照合の文献(Wretenberg ら, 1996)では、モーメントは教材のとおりでしたが、太ももの筋の活動はローバーの側でわずかに高く出ていました。モーメントから筋の活動を推論する一歩は、測定では支持されていません。関節のモーメントは、1つの筋ではなく、その関節をまたぐ全ての筋と、反対向きに働く筋の同時収縮で作られているからです。

穴3 回旋を担う場所に、膝が入っていなかった

書籍は回旋を担う場所を5か所(足部、股関節、胸椎、首の上部、眼球)と書いていました。しかし、曲げた膝ではすねがかなり回旋します。第8弾の穴1で示したとおり、両足を着いたまま股関節で稼げる回旋は一方向およそ45度なので、残りの多くを膝から下が担っています。膝を抜いた式では、その分が腰椎の負担として見積もられてしまいます。

穴4 「おしっこ我慢は締めるポジション」は半分しか合わない

股関節の締まりの位置は、伸展・外転・内旋です。膝を内に入れて閉じる動きの内旋の成分はこれに合いますが、内転の成分は合いません。膝を閉じるとおしっこを我慢しやすい理由は、靭帯の締まりだけでは説明できず、太ももの内側の筋と骨盤の底の筋が一緒に働くことなど、別の要因も考える必要があります。講座でこの例を使うときは、内旋の部分に限って説明するのが正確です。

穴5 書籍の予測が、同じ節の主張と食い違っていた

書籍は4-8節で、「足部の傾きを支持具で変えると、頭部の水平位置のずれは、傾きの変化と身長の積に比例して動く」と予測していました。ところが同じ節で、「下のアンバランスを修正するため、上が代償して、体が全体として辻褄が合う」と書いています。上が代償するなら、頭は傾き×身長の分だけは動きません。予測と主張が逆を向いていました。

主張の側(上が代償する)を残し、予測を立て直しました(予測43)。足の下に傾きを入れても、頭のずれは「傾き×身長」よりずっと小さく、その代わり上の段に打ち消す向きの傾きが現れる。そして、どの段で打ち消すかに人ごとの癖が出る、という予測です。

10 登録する予測(5件)

第1弾から第8弾までで、38件の予測を登録しました。この記事から5件を追加します。番号は39から続けます。いずれも、この記事の公開日に登録したものとします。

予測39 バーの位置を変える方が、「殿筋を使え」と指示するより、筋の配分を大きく変える。指示の効果は重い負荷で消える

前提:筋の配分は主に課題の幾何で決まり、意識の設定はそれを少しだけ動かす(2節、穴1・穴2)。

測定方法:同じ人が、同じ深さのスクワットを、2つの操作の組み合わせで行います。バーの位置(ハイバー/ローバー)と、指示(なし/「お尻の筋を使って」)です。負荷は最大挙上重量の50%と85%の2段階にします。お尻の筋と太ももの前の筋の筋電図の比を測ります。順番は入れ替えます。

予測:バーの位置による筋電図の比の変化は、指示による変化より大きい。指示による変化は50%では出るが、85%では消えるか小さくなる。

理論が分岐する点:意識が筋の配分を自由に決められるなら、指示の効果はバーの位置の効果と同じくらい大きく、重い負荷でも残ります。逆に、バーの位置で筋電図の比が変わらなければ、穴2のとおり、モーメントと筋の活動はつながっていないことになります。

外れた場合に何が壊れるか:「操作すべきは筋ではなく配置」という、第2章から続く指導の設計の、筋の水準での根拠が崩れます。

予測40 股関節の回旋が小さい人ほど、同じ回旋課題で腰椎が回る。股関節の回旋を広げると、腰椎の回旋は減る

前提:課題が要求する回旋の総量は決まっていて、足りない分が腰椎に回る(3節)。

測定方法:立位で、決めた的を向く回旋課題を行い、腰椎の回旋角を慣性センサーで測ります。股関節と胸椎の回旋の可動域を事前に測っておきます。股関節の可動域を広げる介入を数週間行った群と、行わない群で、前後を比べます。

予測:股関節(と胸椎)の回旋の可動域が小さい人ほど、腰椎の回旋角が大きい。股関節の可動域が広がった群では、腰椎の回旋角が減る。

理論が分岐する点:腰椎の回旋が主に腰椎そのものの性質(柔らかさ)で決まるなら、股関節の可動域とは関係せず、介入でも変わりません。

外れた場合に何が壊れるか:「腰椎の問題は腰椎の問題ではない」という3節の中心の主張が崩れます。

予測41 膝が内に入る人は、つま先の向きで2つに分かれ、合った介入でだけ改善する

前提:膝の崩れは、相対回旋が小さすぎる崩れと、大きすぎる崩れの2種類がある(4節)。

測定方法:しゃがむ動作で膝が内に入る人を、つま先と膝の向きの関係で2群に分けます(つま先も内向き/つま先は外向きで膝だけ内)。それぞれを、足の倒れ込みを減らす介入と、つま先の開きを戻す介入に無作為に割り付けます。膝の内への倒れ込みの角度を動画から測ります。

予測:つま先も内向きの群では、足の倒れ込みを減らす介入の方が、つま先が外向きの群では、つま先の開きを戻す介入の方が、膝の倒れ込みを大きく減らす。逆の組み合わせでは、効果が小さいか、悪くなる。

理論が分岐する点:膝が内に入る崩れが1種類なら、どちらの群でも同じ介入が効き、交互作用は出ません。

外れた場合に何が壊れるか:「崩れは正常範囲の両側に起きる」という4節の主張と、つま先と膝の向きで見分けるという指導の基準が崩れます。

予測42 膝を外に向けたしゃがみ込みの方が、膝を内に入れたしゃがみ込みより、股関節が深く曲がる

前提:股関節は外旋で緩み、内旋で締まる(7節)。

測定方法:同じ人に、足幅を固定して、膝をつま先の外側に向ける条件と、膝を内に入れる条件でしゃがんでもらいます。動画から股関節の最大屈曲角を測ります。順番は入れ替え、結果の向きは告げません。

予測:膝を外に向けた条件の方が、股関節の最大屈曲角が大きい。

理論が分岐する点:深くしゃがめるかどうかが、主に太ももの裏や足首の柔らかさで決まるなら、膝の向きによる差は小さくなります。

外れた場合に何が壊れるか:7節の「外旋で緩み、内旋で締まる」を、しゃがみ込みの指導に使う根拠が崩れます。

この予測は、臨床の股関節のつまりの検査と同じ向きを持つので、当たっても新しさは小さい予測です。新しいのは、検査の姿勢ではなく、日常の動作の深さとして測る点です。

予測43 足の下に傾きを入れても、頭は「傾き×身長」ほどは動かず、上の段に打ち消す傾きが現れる。打ち消す段には人ごとの癖がある

前提:下の段の傾きは、上の段の代償で打ち消される(8節、穴5)。

測定方法:立位で、片足の下に傾きのある板を入れ、横と前からの写真で、頭のずれと、骨盤・胸椎・首の傾きを測ります。同じ人で別の日にも繰り返します。さらに、目を閉じて「まっすぐ立って」と指示したときの姿勢の、重力の向きからのずれを、頭上に体重の5%ほどの荷物を載せる条件と載せない条件で比べます。

予測:頭のずれは、傾き×身長から計算される値よりずっと小さい。上の段(骨盤、胸椎、首のどれか)に、傾きを打ち消す向きの傾きが現れる。どの段で打ち消すかは、同じ人では日をまたいでも似ている。頭上に荷物を載せた条件では、「まっすぐ」のずれが小さくなる。

理論が分岐する点:上の段の代償が働かないなら、頭は傾き×身長に近い分だけ動きます。また、垂直の感覚が荷重で取り直されないなら、頭上の荷物でずれは変わりません。

外れた場合に何が壊れるか:「上が代償して辻褄を合わせる」という教科書の記述と、頭上の荷重で垂直を取り直すという現場の手続きが、根拠を失います。

11 反証を歓迎します

この記事の一番大きな訂正は、穴1です。「意識は設定しか渡せない」という第6弾の主張から、書籍は「筋については何も指示できない」という結論まで進んでいました。文献は、筋についての設定も渡せること、ただし重い負荷では効かなくなることを示しています。主張を細かくした方が、予測は鋭くなりました。

穴2の、関節のモーメントと筋の活動のつながりについては、私の理解が足りていません。バイオメカニクスの専門の方から見て、予測39の設計に穴があれば指摘してください。

私は研究の作法を正式に学んだ人間ではありません。24年間、現場で観察と試行を続けてきただけです。誤りがあれば、新しいバージョンで直します。訂正前の版も、参照できる形で残します。

連絡先:contact@medi-gym-revital.com
引用:栗山智光(2026)「人体は、力で損をする設計になっている ― 骨格の力学とアライメント」The Kuriyama Protocol 記事第9弾(第4章). DOI: 10.5281/zenodo.23685960

English summary

The Body Is Built to Lose in Force: Skeletal Mechanics and Alignment (The Kuriyama Protocol, Chapter 4)

Chiaki Kuriyama, Human Concierge Association (Japan)
Published 2026-10-27 · DOI: 10.5281/zenodo.23685960 · Contact: contact@medi-gym-revital.com
Part 9 of a series; the fourth of fifteen chapter-by-chapter articles. Parts 1–8: 10.5281/zenodo.23587879 · 23587670 · 23526074 · 23609857 · 23610607 · 23682055 · 23684537 · 23684996

Abstract

Chapter 4 moves inside the body's boundaries to the skeleton, which both transmits force and constrains motion. (1) Most joints are third-class levers: muscle tension = external force × (external moment arm / muscle moment arm), and hand speed = muscle shortening speed × the same ratio — the body loses in force to gain speed and range (e.g., ratio ≈ 9 at the elbow; a 5 kg load requires ≈ 430 N of muscle tension). (2) Required torque = weight × horizontal distance, so position, not effort, sets joint demand. (3) Rotation is shared by foot, knee, hip, thoracic spine, upper cervical spine and eyes; the lumbar spine, with near-sagittal facets, should contribute little, and whatever the others lack is passed to it. (4) The knee is a helix, not a hinge: relative rotation (tibia − femur) has a normal range, and collapse occurs on both sides — loss of relative rotation (everything internally rotated) and excess (tibia externally, femur internally rotated) — distinguished by the toe–knee direction relation, with opposite corrective interventions. (5) Rotation is always coupled with lateral flexion and counter-rotation. (6) Bone takes compression and soft tissue tension (tensegrity used only as metaphor). (7) Joints have close-packed and loose-packed directions, so the body changes its effective degrees of freedom by configuration rather than command. (8) Five observation points (head, thoracic spine, pelvis, knee, foot); vertical is the minimum-torque, minimum-signal state, so people cannot sense their own tilt, and head-loading is a field procedure for restoring it.

Five gaps found while writing, not stated in the book. (1) "Consciousness cannot instruct which muscle to use" overstated Part 6: a muscle-focus cue is itself a few-bit setting, and it raises the target muscle's EMG at 20–60% 1RM but not at 80% (Calatayud et al., 2016). (2) The teaching inference "larger joint moment ⇒ larger activity of that joint's muscles" is not supported: in high- vs low-bar squats, moments followed geometry but thigh EMG was slightly higher in the low-bar group (Wretenberg et al., 1996). (3) The book's list of rotation sites omitted the knee, which, given that both hips can contribute only ≈45° one way in double stance (Part 8), carries much of the remainder. (4) "Knees-together when holding urine is a close-packed hip position" only half fits: the hip's close-packed position includes abduction, not adduction. (5) The book's prediction that head displacement equals foot tilt × height contradicted its own claim that upper segments compensate; it is replaced.

Registered predictions (P39–P43)

P39. Bar position (high/low) changes the gluteal/quadriceps EMG ratio more than the cue "use your glutes"; the cue's effect appears at 50% 1RM and vanishes or shrinks at 85%.

P40. Smaller hip (and thoracic) rotation range predicts larger lumbar rotation in the same turning task; increasing hip rotation range reduces lumbar rotation.

P41. People whose knees collapse inward split by toe–knee relation, and each subgroup improves only with its matched intervention (reduce foot pronation vs. reduce toe-out); crossed interventions are less effective or harmful.

P42. With fixed stance, squatting with knees pointed outward yields greater maximum hip flexion than with knees inward (consistent with clinical impingement tests; novelty lies in measuring it as functional depth).

P43. A wedge under one foot displaces the head much less than tilt × height; compensatory counter-tilts appear in upper segments, with person-specific choice of segment stable across days; a head load of ≈5% body weight reduces the deviation of eyes-closed "stand straight" posture from gravitational vertical.

Request

Refutations are welcome, especially from biomechanists on the moment–EMG link behind P39. Corrections will be issued as new versions, with earlier versions kept retrievable.

文献

項目書誌
腰椎のバイオメカニクスBogduk N (2005). Clinical Anatomy of the Lumbar Spine and Sacrum (4th ed.). Elsevier.
筋に意識を向ける効果Calatayud J, Vinstrup J, Jakobsen MD, Sundstrup E, Brandt M, Jay K, Colado JC, Andersen LL (2016). Importance of mind-muscle connection during progressive resistance training. European Journal of Applied Physiology, 116(3), 527-533. DOI: 10.1007/s00421-015-3305-7
膝の外反と怪我Hewett TE, Myer GD, Ford KR, ほか (2005). Biomechanical measures of neuromuscular control and valgus loading of the knee predict anterior cruciate ligament injury risk in female athletes. American Journal of Sports Medicine, 33(4), 492-501.
バイオテンセグリティLevin SM (2002). The tensegrity-truss as a model for spine mechanics: biotensegrity. Journal of Mechanics in Medicine and Biology, 2(3-4), 375-388.
頭上運搬の効率Maloiy GMO, Heglund NC, Prager LM, Cavagna GA, Taylor CR (1986). Energetic cost of carrying loads: have African women discovered an economic way? Nature, 319, 668-669. DOI: 10.1038/319668a0
運動学の教科書Neumann DA (2017). Kinesiology of the Musculoskeletal System (3rd ed.). Elsevier.
足の倒れ込みと膝Tiberio D (1987). The effect of excessive subtalar joint pronation on patellofemoral mechanics: a theoretical model. Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy, 9(4), 160-165.
持ち上げの指針Waters TR, Putz-Anderson V, Garg A, Fine LJ (1993). Revised NIOSH equation for the design and evaluation of manual lifting tasks. Ergonomics, 36(7), 749-776.
ハイバーとローバーWretenberg P, Feng Y, Arborelius UP (1996). High- and low-bar squatting techniques during weight-training. Medicine & Science in Sports & Exercise, 28(2), 218-224.

この記事の作り方について

各節は、主張・観察・導出・照合・判定・予測の順で書いています。主張が先、文献が後です。

観察の引用は、講座の記録からの逐語です。日付が記録にないものは「日付未取得」、要約したものは[要約]、私が作った教科書・教材・書籍原稿からの引用は「著者資料」と書いています。逐語は、AIによる抽出の後に「原典に無ければ逐語なしと書け」と問い直す2段階の確認を通しています。

文献のうち、Calatayud ら(2016)、Wretenberg ら(1996)、Maloiy ら(1986)は、書誌と内容の要点を記事の作成時に確かめました。その他の文献の巻と頁は、書籍の作成時の記録と二次文献によるもので、原本では確かめていません。

ライセンス:CC BY 4.0。出典を示していただければ、自由に使っていただけます。

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