今回から連続した三つの記事で、それぞれの切り口から「老化」について解説します。 1、酸化ストレス編 2、糖化ストレス編 3、リン過剰・細胞分裂編 生まれてから成長を続けてきた体は、あるときに成熟期を迎えます。 この時期から生じる生理機能の衰えが、一般的に「老化(生理的老化)」と呼ばれるものです。 本来、働きが低下した細胞は排除されて新しい細胞が補充されますが、年齢を重ねると細胞が入れ替わりにくくなったり、 細胞の数が減ったりして、生理的老化が進行します。 1秒、1分、1時間……と、時間の流れは誰にとっても同じです。しかし、体が変化するスピードは同じではありません。 同じ日に生まれた人同士でも、体の成長速度に個人差があるように、老化の進行速度も人それぞれ異なります。 さらに、成長や老化が進む速度は、体内でも組織・細胞ごとに差があります。 そのため、「体内の細胞を比較すると、Aの部位とBの部位では老化の進行具合がまったく違う」というケースも起こりうるでしょう。 このように、老化は誰にでもやってくるもので、完全に止めることは不可能です。 でも、同じ70歳でも、60歳以下にしか見えない人がいる一方で、80歳にも見えてしまう人もいます。 同じ年齢でも、元気で一線で活躍されている方も人もいれば、寝たきりやボケで苦労されている人もおられます。 老化を完全に止めることは不可能ですが、老化を促進している因子を取り除いたり、生活習慣を工夫することで、 老化を遅らせたり、上手に年を重ね「健康長寿」を全うすることは不可能ではないのです。 老化の正体を見極めなければ「健康長寿の延長」にはつながりません。 酸化ストレスによる老化の機序は複雑であります。以下に主な要素を説明します。 酸化ストレス: 酸化ストレスは、細胞内での酸素利用や代謝過程に伴って生じる活性酸素種(ROS)の過剰な生成と酸化的ダメージが細胞に蓄積することで生じます。ROSは酸化ストレスの主要な要素であり、適度な量であれば細胞の正常な生理機能に関与しますが、過剰に生成されると細胞内の重要な生体分子(DNA、タンパク質、リン脂質など)にダメージを与え、老化プロセスを促進します。 遺伝子の損傷と修復: 酸化ストレスによって生じたROSは、細胞内の遺伝子構造であるDNAにダメージを与えることがあります。DNAの損傷は遺伝情報の変化や遺伝子の不活性化を引き起こし、正常な細胞機能の低下や老化をもたらす可能性があります。細胞はDNA修復システムを備えており、損傷を修復するための機構が働いていますが、酸化ストレスが持続する場合や修復能力が低下する場合は、DNA損傷が蓄積し、老化が進行します。 タンパク質の酸化と機能低下: 酸化ストレスは細胞内のタンパク質にも影響を与えます。ROSがタンパク質と反応すると、酸化的な修飾が生じ、タンパク質の立体構造や機能が変化します。タンパク質の酸化は、酵素活性の低下やタンパク質の分解を引き起こし、細胞の代謝や修復能力の低下につながります。 ミトコンドリアの機能低下: ミトコンドリアは細胞内でエネルギー生産を担う重要な器官であり、酸化ストレスの主要な発生源でもあります。ミトコンドリアにおいてROSが生成されると、ミトコンドリアDNAや酵素群に酸化的ダメージが生じ、ミトコンドリアの機能低下が引き起こされます。ミトコンドリアの機能低下はエネルギー供給の減少やROSの生成の増加をもたらし、老化プロセスを促進します。 これらの要素が相互に影響し合い、酸化ストレスによる細胞の老化が進行します。適切な抗酸化防御システムや生活習慣の改善によって、酸化ストレスを抑制し、老化を遅らせることができるとされています。
クリ先生
アンチエイジングは美容にとって永遠のテーマですね。
リバ子
やっぱり、いつも若くありたいもの!
クリ先生
老化予防はあっても若返りなんてものは、実はないんです。
リバ子
そうなの〜!?じゃあ一度、老化したらもうダメなのかしら。
クリ先生
そうなんです!
なので老化を加速させるものを排除する必要があるんですよ!
リバ子
何が老化を加速させるのかしら。気になるわ!
クリ先生
今回は老化の原因となる酸化ストレスについて話しますね!