筋肉とはなんでしょう? 収縮することで、臓器や手や足などの器官を動作させるための組織です。 機械で例えるなら、エンジンや蒸気機関の様な動力源に当たるものです。 たくさんのパワーを得るためには、それ相応にサイズを大きくし、より強力に動作する様に調整しなければなりません。 エンジンなら排気量を上げる必要があります。 しかし単純に排気量を上げたらパワーが上がるわけではありません。 エンジンは燃焼室単体で動いているわけではないので、燃焼室のサイズアップだけでは足りないのです。 燃焼室に入る燃料の供給を増やし、増えた燃料を燃焼させるために酸素の供給量も増やし、排気ガスを外に放出するための配管の径を太くし、有害物質を消すために触媒の機能を上げ、爆発音を小さくするためにマフラーの性能も向上させなければなりませんし、これらを統制するためのコンピュータの制御プログラムも書き換えなければなりません。 これと同じように人間の動力源である筋肉を大きくし、パワーを得るためには何が必要となるでしょう? 筋肉が大きくなれば、それだれだけで全てOKなのでしょうか? 先ほど挙げたエンジンのパワーアップの例でも、かなりたくさんの要素を同時に能力アップさせないといけませんでした。 エンジンである筋肉がパワフルになるということは、体積は大きく、質量は重たくなっていきます。 それゆえ、筋肉の重さを支えるためより強力な骨格や、骨の強度、更なる筋肉が必要となります。 ということは、筋肉を強く大きくするためには、軽くて動きやすい状態を犠牲にしないといけないということになります。 なので人体の中では、筋肉のサイズは動作するのに事足りる必要最低限の量になるように調整されています。 その人が日常の中で行う活動レベルの運動強度をギリギリ支えられる量の筋肉に、少しでもサイズダウンするようにしているのです。 体はありとあらゆるもののバランスの中で成り立っています。 つまり分不相応な筋肉を手に入れることは、リスクになるのです。 もちろん筋肉が大きくなるメリットも存在します。しかしそればかりではないのです。 バランスが全てであることはアスリートを観察してみれば分かります。筋肉が大きければ大きほどメリットが大きくなるのであれば、全てのアスリートがボディビルダーの様に筋肉隆々となるはず。しかしそうはならず、その競技特性にあった筋肉量と骨格バランスに落ち着きます。 それにも関わらず、むやみやたらたとトレーニングに励み筋肉の量を向上させることのみにフォーカスしている、昨今の潮流に私は疑問を感じます。それよりも一般の方々には日常の活動レベルを上げて、筋肉量がたくさん必要となる状況になるよう、環境調整をすることの方が遥かに大事になります。 筋肉を増やすのが悪いと言っているのではなく、分不相応な筋肉量とならない様に筋肉を増やすことに邁進せず、活動レベルを向上させる事に注力することこそが、現代の課題なのではないでしょうか?
クリ先生
筋肉量が増える事が、全てを解決するのでしょうか?
リバ子
増えれば増えるほど良さそうに感じるわ。
クリ先生
そうですね。メディアであったり、運動指導の現場でもよく言われています。
リバ子
それなら健康になるために筋肉を鍛え上げる必要があるんじゃないかしら?
クリ先生
何事も大多数の人が言っているからと鵜呑みにするのではなく、本当にそうなのか?と疑う姿勢は大事ですよ!
リバ子
確かに、皆がそう!と言っていると、疑う事なくその情報を受け取って信用してしまうわ。
クリ先生
様々な角度から、その情報が正しいのかみられると良いですね!
今回はいつもとちょっとだけ違った切り口から筋肉を見てみましょう。